大学生が読んでみたら面白そうな本を紹介するブログ

「読書はきっと人間力を向上させる」と自己暗示を掛けながら読書に励む大学生が、読了書を書評を模して紹介します。

『旅の流儀』玉村豊男著 中公新書

 

 裏で内容の重い本を読んでいるので、軽い本をさらっと読了。

 

 

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 玉村豊男氏の『旅の流儀』。

 他で連載していたエッセイを再編したものらしく、サクッと読める。

 

 旅というのは、誰と行こうとどこに行こうと、必ず一人称視点で進む。また、例え複数人で旅に赴いたとしても、その興趣を深く語り合うことはそうない。その点で、他人目線での、旅への向き合い方や旅中での実践などに触れられるのはとても新鮮である。

 

 例えば、長野在住の著者は、東京に仕事の都合で宿泊する際には、ホテルの周りを散策するのだという。またその際には、「自分がこの街に住んだら」という視点を持つとのこと。著者曰く、見慣れた風景であったとしても無かったとしても、ホテルを自宅と仮想して街を見回すと、全く別の風景が見えてくるのだという。

 旅先で宿泊先の周りを散策することはあるが、そういった視点を持って隈なく見回したことは無かったので、一つ実践してみたくなった著者の習慣である。

 

 もう一つ実践したいと思ったのは、旅先での散髪の習慣である。著者は、海外に行くと、言葉が通じなかろうと、散髪屋に入るのだという。「言葉の通じない国で散髪をするのは、実害の少ない旅の楽しみである」と著者はまとめている。

 

 

 70歳を迎えられた玉村氏は、学生として2年間を過ごしたパリでの習慣がその後の生活習慣に強く影響を及ぼしていると述べる。この言葉を信じれば、いま20歳で経験する様々なものは、この先の長い人生に大きな影響を与える。

 そう考えると、たくさん旅をし、たくさんの事を経験し、それらの経験をこの先の人生や生活に敷衍していくような感覚を今から持てていると良いのではないかなと強く感じた。どうしても上手く著書全体をまとめられなかったが、一番強く印象に残ったのはこの部分である。