大学生が読んでみたら面白そうな本を紹介するブログ

「読書はきっと人間力を向上させる」と自己暗示を掛けながら読書に励む大学生が、読了書を書評を模して紹介します。

『読書力』齋藤孝著 岩波新書

 

 

書評を書く場所を何処かに作りたく、このブログを立ち上げました。

 

 

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 記念すべき1冊目は、『声に出して読みたい日本語』で有名な齋藤孝氏の著書、『読書力』。

 

 

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 斎藤氏は、日本人の読書力を、ただ単に文化というだけでなく、日本経済の一角をさえ担う資産として捉えるべきではないかと主張する。そして現在の日本人の読書量の低下は、経済は愚か国力の衰退をも導き得るのではないかと危惧する。そこで斎藤氏は、「日本の地盤沈下を食い止める最良の手段」として「読書力の復活」を掲げている。このことを前提として本書は著されており、少しでも日本人の読書力の向上に繋がれば、という氏の思いが読み進めると強く伝わってくる。

 

 

 Ⅲ章の冒頭で述べられているのだが、氏は、学生相手に会話をしていると、本を読んでいる学生であるかそうでないかがすぐに分かるという。その要因として挙げられているのは、会話中の「脈略」の有無である。「要約を言えることが読んだということ」と著者は述べるが、その「要約力」が会話中の脈略づくりに大きく寄与するのだという。つまり、相手の話の要点を上手く掴み、自分なりの観点で切り返す。この能力によって本を読んでいる人間かどうかが分かるということである。

 

 もちろん本から知識を充填することは重要であるが、本書で主に扱われるのは上記したような「コミュニケーション力」、しいて言えば「人間力」の向上に読書が如何に寄与するかという点である。本書は、「読書が如何なる人間的能力を引き上げるか」が述べられた部分と、「では実際にどのようにして読書を実践すれば(始めれば)良いのか?」という疑問に答える2つのセクションに大まかに分かれている。

 読書が我々にもたらす変化に触れ、その上で具体的な実践法にも触れられる。読書入門の良書である。